SLANT _ 頼り合って支えるスツール
現在、飛騨市は広葉樹の林業に取り組んでいます。
針葉樹林業は日本各地にあるが、広葉樹林業は希少なチャレンジだという。
山には豊かな広葉樹林が広がっているが、
長きに渡って資源として活用されなかったらしい。
飛騨は日本の代表的な家具の生産地であるにも関わらず、
製材所から大小様々な家具工房まで地元の隅々まで見て回っても、
飛騨産はおろか、国産の広葉樹さえ殆ど見ることはない。
林業を成り立たせていくには様々な課題があるが、
糸口として、間伐した「広葉樹の小径木を使った商品」の開発を依頼される。
発注者は「株式会社 飛騨の森でクマは踊る(通称:ヒダクマ)」
飛騨市とロフトワークが出資した企業で、
広葉樹林業を広く広報して行く為に
基点となる「FabCafe Hida」を飛騨古川に構えている。
小径木から製材される板材は小振りで細い為に
大きく立体化していくことや強度確保が難しく、
これまで家具の素材として敬遠されてきたという。
細い板材でも「斜め」に折り曲げると
ボリューム化と剛性力の双方を向上させることができることから、
その折り曲げたL字の部材を
互いに頼り合うように組合せたスツールを作りました。
力の流れが多方向に分散され、
捻じれにも荷重にも強いがっしりとしたスツールです。
ところが「斜め」にしたことによって、
接合部の角度調整が煩雑過ぎると、地元の職人さんから製作を拒否された為に、
FabCafe Hidaの工房を使って、私が自ら製作しています。
デジタル環境でデザインしたデータをそのまま流用し、
レーザーカッターで数種の冶具を切り出すなど作業の簡易化を計っています。
ヒダクマのアサオカさんの手助けを得ながら、2日間で4スツール製作しました。
Phase : Apr. 2017 in complete