林業の現場@滋賀県長浜市

2017.11.28

飛騨市の「小径木広葉樹の資源活用」プロジェクトをはじめ、
今年は林業の現場に触れられる機会に恵まれました。
森林大国であり木造技術に優れる日本ですが、
多くの自治体が、放置荒廃が進む森林の取り扱いに苦労しています。
 
国内の森林資源をしっかり活用していけると、
多くの社会課題がスッキリと解消されるのですが、
経済効率の悪さが林業の障壁となっています。
 
 
微力は承知の上ですが、
私もこのジレンマに向き合える機会を大事にしています。
11月末にも、林業の6次産業化を考える一員として、
滋賀県長浜市に呼んで頂きました。
 

植樹30年の人工林:間伐が必要な時期を迎えています。
 

琵琶湖:残念ながら湖畔でゆっくり過ごせず、、。
 
圧倒的に大きい琵琶湖ですが、周りを囲う山々の森林が持つ保水能力に依存しています。
林業で山の循環体系を整えられたら、とても大きな恩恵を得られることでしょう。
 
湖北の方々は「有名な木材産地ではない」と控え目に言われますが、
森林・組合・木材市場・製材所と順に視察していくと、
地元の木材が住宅建材としてしっかりと流通しています。
 
規模は年々減少し「細い糸で繋がっているに過ぎない」との危惧があるそうですが、
山々の稜線は穏やかで平地との距離も近く、
地産地消林業に適したコンテクストに長浜市の大きな可能性を感じました。
 
 

長浜市内の材木市場:市内近郊から集まってくる。
 

この日は、推定樹齢150年の杉が取引されていました。
 

地産地消型林業を牽引している製材所
 
日本の木が活用されない問題の根源は、多くの消費者が
「森林は希少で」「国産木材は高く」「木を切ることは自然破壊だ」と、
誤解していることです。
 
日本人は昔から山と相互依存の関係を築いてきた為、
守るべき原生林はそれほど多くありません。
長いこと生物循環のサイクルに割り込んでおきながら、
突然人間に見放された森林は荒廃が進むばかりです。
植樹された単一樹種の森林は、各地一斉に寿命を迎える局面にあります。
その前に資源活用しながら還元し、
多様性のある生態系へと移行させなくてはならないのです。
 
今、ゴミを分別しないで捨てることはありませんが、
ホンの30年前まで無かった価値観です。
同じ様に、森林資源についても社会意識を変えていく活動が必要です。
 
「木を伐ること=森林破壊」なのではなく、
「木を伐らなければ、森林を保全していけない」と、
知ることが大きな一歩になると思います。
 

ブレストの司会をさせて頂きました。活発な議論が展開された。
 

 
市民・森林所有者・製材所・森林組合・市職員など立場の異なる方々と、
林業の現場を視察していると互いに多くの気づきがありました。
知見を広げながら様々な議論を交えていければ、
長浜市ならではの林業スタイルも見えてきそうです。